日本原子力研究開発機構先端基礎研究センターのスピン偏極陽電子ビーム研究グループは、陽電子線源にゲルマニウム-68を用いて世界最高のスピン偏極率(47%)をもつ陽電子ビームの開発に成功した。
研究グループでは陽電子消滅法と言われる方法に着目し、照射する陽電子ビームのスピンの向きを揃える(偏極させる)ことで、従来の陽電子ビームでは難しかった電子スピンの検出を目指して研究を進めてきた。今回、加速器を使って高強度の陽電子線源(ゲルマニウム-68)を生成し、この線源を用いたものとしては世界最高のスピン偏極率 を持つ陽電子ビームの開発に成功した。
この高スピン偏極陽電子ビームを、電子スピンを一方向に揃えた純鉄に打ち込み、電子と陽電子が結合消滅するときに発生するガンマ線を観測したところ、電子スピンの検出が可能であることが実証された。本成果により、スピン偏極陽電子ビームを用いた陽電子消滅法が、スピントロニクス開発に必要な電子スピンの新たな評価手法となることが期待される。
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