東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授の早野龍五氏は、携帯電話の位置情報が、福島第一原発事故時の原発周辺地域の人数分布の把握に使えることに着目し、ゼンリンデータコムの協力を得て、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)付き携帯電話の利用者から許諾を得て取得した位置情報を、個人特定できないよう統計化した「混雑統計®」データを用いて解析した。
「混雑統計®」データによれば、事故前の20km圏内の人数は約76,000人、放射性ヨウ素濃度が最も高かったと考えられている3月14日深夜から3月15日深夜にかけての人数は、最大でも約2000人と推計された。ただし、ここに放射性ヨウ素の影響を受けやすい幼児がどれだけいたかは、このデータだけからは分からない。
これまで行われてきた、聞き取り調査や問診票などのように、記憶に頼ることなく、客観的なデータを用いて事故当時の人の流れを明らかにしたのはこれが初めて。この手法は、今後、初期の内部被ばく及び外部被ばくの影響評価に有用と考えられる。
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