パナソニックは,異なる通信規格の機器とも簡単にワイヤレス接続し,省電力でより安定した通信を実現するマルチバンド統合無線技術を開発した。この技術を搭載することで,センサネットワーク用無線の全ての周波数帯域に対応し,従来のシングルバンド用無線部の30%の省電力化を実現する。これにより,クラウドに対応した「M2Mセンサーネットワーク」の普及の加速が期待できる。
具体的には,送信電力増幅回路に供給される高周波信号の位相合成によりデジタル的に正弦波を生成し,電力増幅回路で発生する不要な3次高調波や5次高調波を抑圧する技術を開発た。これにより,周波数依存性のあるフィルタを不要としたことで,チップ面積を増大することなく,1つの回路で広帯域に使用可能な電力増幅回路を無線チップに実装可能となった。
従来の受信増幅回路は,らせん状導体で構成するチップ面積の大きいコイルが使用されるが,対応周波数帯域の数だけ必要となるため,チップ面積が増大していた。今回,チップ面積の小さなトランジスタと抵抗とコンデンサを組み合わせ,等価回路としてコイルを構成し,その素子性能ばらつきの影響を補正して周波数帯域に自動的に同調する増幅回路技術を開発した。この技術で,400MHzから1.2GHzまで対応する増幅器を1つの回路で実現し,チップ面積を従来型増幅器と比較して1/10に低減した。
さらに,直接周波数成分を検出する復調方式を新たに開発。これにより,信号処理の回路規模や演算時間,消費電力の削減が可能になり,20年以上の電池駆動が可能になった。
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