早大、光に応答してエネルギーが増加する哺乳類培養細胞を作製することに成功

早稲田大学理工学術院先進理工学研究科生命医科学専攻生物物性科学研究室准教授の澤村直哉氏と教授の朝日透氏は、同研究室大学院博士課程学生の和田丈慶氏、同研究科応用化学専攻教授の木野邦器氏、神戸大学准教授の原清敬氏とともに、古細菌由来のプロトンポンプの機能を持つタンパク質を哺乳類培養細胞のミトコンドリアで特異的に発現させることにより、光に応答してプロトン駆動力(あらゆる生物のエネルギー源)が増加する細胞を作製することに成功した。

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研究グループは、光駆動のプロトンポンプであるデルタロドプシンを哺乳動物細胞のミトコンドリアにおいて特異的に発現させたのち、この細胞に光照射を行なうと、哺乳動物細胞ミトコンドリア内で呼吸鎖のプロトン濃度勾配が増加するとともに、ミトコンドリア機能を阻害し、パーキンソン病モデルを誘導する薬剤として用いられる1-Methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine(略称:MPTP)による神経細胞死が抑制されることを明らかにした。

これは、植物で見られる光合成の一部を哺乳類培養細胞で再現した画期的な成果と言い換えることができる。将来、再生医療技術との融合によりパーキンソン病などの治療にも役立つ可能性も秘めている。

この研究は早大先端科学・健康医療融合研究機構において実施された神戸大学との共同研究であり、早稲田大学が展開している文部科学省「リーディング理工学博士プログラム/エナジー・ネクストリーダーの養成」の教育研究の成果。

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