阪大、植物の別細胞から表皮細胞を作成することに成功

大阪大学理学研究科助教の髙田忍氏、研究員の髙田希氏、大学院生の吉田彩香氏の研究グループは、植物の表皮を作る能力を持つ遺伝子を明らかにした。

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アブラナ科の植物であるシロイヌナズナのATML1という遺伝子に注目。ATML1は1996年に最初に報告された遺伝子で、表皮でのみ転写されることから、表皮の形成に関わっていると考えられていた。今回、研究グループでは、このATML1に表皮を作る能力があるかどうかを調べるために、ATML1遺伝子が植物の全ての細胞で働くように改変した遺伝子組み換えシロイヌナズナを作った。すると、この植物では驚くべきことに本来、葉肉細胞が作られるべき内側の組織に、気孔や毛状突起の特徴を持つ細胞が作られた。

葉肉細胞の分化は阻害され、一部が透き通った葉が作られた。この遺伝子組み換え植物では、表皮で働く複数の遺伝子の転写量が上昇していることも示された。

これらのことから、ATML1は表皮以外の細胞を表皮に分化させる能力を持つことが証明された。本研究の成果により、陸上の植物の進化の過程や、植物が気孔やクチクラを持つ表皮を作るしくみの解明が期待される。

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