阪大、破骨細胞を骨から遠ざけ血管へ引き戻すことを解明

大阪大学生命機能研究科医学系研究科免疫学フロンティア研究センター助教の菊田順一氏と教授の石井優氏らの研究グループは、これまで独自に立ち上げてきた骨組織のライブイメージング系を活用して、ビタミンDが「破骨細胞を骨に近づけないようにして血管へ引き戻す」ことで骨破壊を抑制していることを初めて明らかにした。

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これまでビタミンDによる骨破壊抑制作用のメカニズムの詳細、すなわち「ビタミンDがなぜ骨破壊を抑制するのか」ということについては長い間不明のままであった。特に、大きな謎とされてきたことは、in vitro(培養容器内)の実験系では、ビタミンDは骨を破壊する能力をもつ破骨細胞をさらに増やす(=骨破壊を促す)ように作用することが知られており、in vivo(生体内)との実験系の違いの中に、謎を解く鍵があると考えられていた。

In vitroの系と実験系との最大の違いは、In vitroの系では、実験者がある一定数の細胞を培養容器に入れて観察するため、細胞の「動き」は見られないし、新たな細胞が入ってきたり、逆に出て行ったりすることもない。

研究グループは、ビタミンDがこの破骨細胞の「動き」の制御に関わっているかもしれないという仮説を立てて、実験を行なった。その結果、ビタミンDは破骨細胞を骨に引き寄せる受容体であるS1PR2を減らすことにより、破骨細胞を骨から遠ざけることで骨破壊を抑制していることが明らかとなった。この研究成果によって、骨粗鬆症など骨疾患の治療により効果的な骨破壊抑制薬の開発につながることが強く期待される。

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