奈良先端大、細胞増殖を調節する新たな仕組みを解明

奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科植物成長制御研究室教授の梅田正明氏らは、植物が器官の大きさを一定サイズに保つために、細胞増殖を適度に抑える仕組みをもつことを明らかにした。これまで細胞壁などによる物理的な力が器官の成長を制御することは知られていたが、異なる細胞間のシグナルのやりとりにより細胞増殖が抑制されるメカニズムの発見は初めて。植物の巧妙な成長戦略を裏付けた。

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梅田氏らはシロイヌナズナで植物体の成長を調節する極長鎖脂肪酸(ワックスの成分)の合成を阻害し、その際に見られる現象を詳細に観察した。その結果、植物ホルモンの一つであるサイトカイニンの合成量が増加することにより、細胞増殖が活性化することを明らかにした。この現象に伴い葉などの器官サイズが大きくなったことから、植物は通常、極長鎖脂肪酸を合成することで、サイトカイニンの合成量を減らし細胞増殖を適度に抑制しており、器官の大きさを一定サイズで収めるバランスの取れた仕組みを持つことが明らかになった。

本研究の成果は、極長鎖脂肪酸合成の阻害剤などを使って細胞増殖の歯止めをなくし、器官サイズを大きくして植物バイオマスを増産させるなど、新たな方向性を与えるものと期待される。

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