理研、レチノイン酸の可視化に成功

理化学研究所脳科学総合研究センター細胞機能探索技術開発チームチームリーダーの宮脇敦史氏、研究員の下薗哲氏らによる研究チームは、ゼブラフィッシュの胚を用いて、ビタミンA誘導体であるレチノイン酸を可視化する技術を開発し、その濃度勾配が動物の体を形作るのに重要な役割を担うことを明らかにした。

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私たちが摂取するビタミンAは、体内でレチノイン酸という活性分子になって働く。レチノイン酸は脊椎動物が発生する過程で細胞の運命を決定づけるモルフォゲン分子として注目されてきたが、レチノイン酸はタンパク質ではないので、蛍光タンパク質などで標識できない。そのため、胚の中でどういう濃度分布を示して位置情報を与え体作りに関わるのか、不明のままだった。

レチノイン酸と結合するタンパク質(レチノイン酸受容体)のうち、レチノイン酸が結合する部分だけを取り出し、これに蛍光タンパク質を連結した蛍光プローブ「GEPRA(ゲプラ)」を開発、ゼブラフィッシュの胚の前後軸(頭尾軸)に沿ったレチノイン酸濃度を可視化することに成功した。レチノイン酸は合成部位(胚の真ん中)と分解部位(胚の両端)に挟まれた領域でほぼ直線的に分布しており、シミュレーションにより、レチノイン酸が胚の中で素早く拡散することが示唆された。興味深いことに、こうした直線的な濃度勾配は、外から過剰のレチノイン酸を投与しても、あまり影響を受けないことが分かった。

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