理研など、人工塩基を用いてDNAの機能向上を証明

理化学研究所と理研ベンチャーのタグシクス・バイオは、自然界には無い人工塩基を天然のDNAに組み込むことで、DNAの機能を飛躍的に向上できることを世界で初めて証明した。これは、仮説が提唱されてから約50年後の実証で、次世代の遺伝子操作技術にも大きく貢献するものであり、理研生命分子システム基盤研究領域核酸合成生物学研究チームチームリーダーの平尾一郎氏(現:ライフサイエンス技術基盤研究センター構造・合成生物学部門 生命分子制御研究グループ 合成分子生物学研究チーム チームリーダー)らによる共同研究グループの成果。

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共同研究グループは、2009年に複製可能な人工塩基対「Ds-Px(ディーエス-ピーエックス)」を世界で初めて開発。さらに今回は、“人工塩基Ds”をDNAに組み込み、標的のタンパク質だけに結合する「DNAアプタマー」の作製に成功した。このDNAアプタマー中には2~3個のDsが含まれているだけだが、天然型塩基だけで構成される従来のDNAアプタマーと比較して、標的タンパク質との結合能力が100倍以上も向上した。

これにより、塩基の種類を増やすとDNAの機能が向上するという仮説を世界で初めて証明。この成果は、DNAなどの核酸を利用した診断技術や医薬品を開発する新たなバイオ技術を提供し、人工塩基対による次世代の遺伝子操作技術への道をひらく。

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