J-PARK,世界最大のパルス中性子ビーム強度を達成

J-PARCセンターでは、光速近くまで加速した陽子によって生み出される大強度量子ビームを基礎研究や産業利用に供することを目的とした施設の運転とビーム利用研究を行っている。このうち、物質・生命科学実験施設では、高エネルギーの陽子が標的の原子核を粉々に破砕する核破砕反応によって生成した中性子を、パルス状のビームとして様々な分野の実験者に供給するパルス中性子源が設置されている。

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この運転で供給された中性子数を計測したデータを詳細に解析した結果、1パルスあたり約65兆個だったことが分かった。これは、J-PARCよりも2年前に稼働を始めた米国のパルス中性子施設(SNS)の設計値である1パルスあたり約53兆個(1MW(1,000kW)の加速器出力時)を超えるものであり、今回のJ-PARCの出力上昇によって、物質・生命科学実験施設は世界最大の強度のパルス中性子を利用できる施設であることが確認された。

J-PARCの中性子発生能力の高さは、陽子を入射する標的と、この標的から発生する中性子を効率よく集めて実験に適したビームをつくりだす減速材などの機器類について、専門的知識に基づき、個々の形状、寸法、材質、冷却方式のみならず配置の仕方にも工夫を重ねて綿密に最適化した設計を行った結果、もたらされたものです。

今回の中性子源強度の向上によって、物質・生命科学実験施設は、パルスあたりの世界最大強度をもつミュオン源と併せ、二つの世界最大強度の線源を有するビーム利用施設となった。

J-PARKでは今後、陽子加速器の高出力化のための整備・調整を進め、出力を1MWにまで上昇させる計画。これに伴い、供給される中性子強度が更に高まることが見込まれ、物質科学や生命科学等の分野で最先端の研究成果の一層の進展に貢献できることが期待される。

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