近畿大学農学部バイオサイエンス学科教授の川崎努氏と博士研究員の山口公志氏、大学院生の山田健太氏による研究グループは、植物が病原菌の感染を検知し、それに対抗するための免疫応答を誘導する仕組みを、世界で初めて発見した。
植物の細胞膜上には病原菌を検出するセンサー(病原菌認識受容体)があり、病原菌の感染を認識すると細胞内に情報を伝達し、さまざまな免疫応答を誘導するが、その情報伝達の仕組みはこれまで不明だった。
今回,免疫タンパク質OsRLCK185が、真菌の構成成分であるキチンや細菌の細胞壁成分であるペプチドグリカンを検出して免疫反応を誘導する病原菌認識受容体OsCERK1と相互作用することが明らかになった。
この病原菌認識受容体OsCERK1は、病原菌の構成成分を検出することで活性化し、免疫タンパク質OsRLCK185にリン酸基を付加することで、病原菌感染情報を細胞内へ伝達する。さらに、OsRLCK185がその情報を細胞内の他の免疫タンパク質に伝達することで、様々な免疫反応が協調的に誘導されてくることが明らかになった。
この研究成果によって今後、植物で誘発される免疫応答を人為的にコントロールし、植物本来の免疫反応を最大限に活用することで、環境にやさしい耐病性植物の開発などへとつながることが期待される。
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