日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究部門研究副主幹の西森信行氏、高エネルギー加速器研究機構加速器研究施設助教の山本将博氏、広島大学先端物質科学研究科教授の栗木雅夫氏及び名古屋大学工学研究科助教の桑原真人氏らの共同研究グループは、世界に先駆けて500keVの大電流ビームを生成できる光陰極直流電子銃を開発した。これにより、放射性核種の非破壊分析を可能にする大強度γ線源や、生体細胞の高分解能イメージング、持続可能な社会実現のための光合成や触媒の研究における新たなツールとしての高輝度・短パルスX線源など、次世代光源へ道を開いた。
次世代X線放射光源や自由電子レーザー開発を目的としたエネルギー回収型リニアック(ERL)の研究が、共同研究グループや、米国、ドイツ、中国で進められているが、この光源を実現するには、500keV以上のエネルギーを持つ高品質ビームを大電流で生成する光陰極直流電子銃の開発が必須とされ、20年以上世界で開発が進められてきましたが成功に至っていなかった。
共同研究グループは、2009年に独自の多段セラミック管を用いて500kVの電圧印加に世界で初めて成功。その後、ビーム生成用加速電極の設置に伴い発生した暗電流問題により進展を阻まれてきたが、独自技術で解決し、今回、500keV電子ビームを2mAという大電流で生成することに成功した。これによりERL型次世代放射光源の実現が可能となった。
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