国立精神・神経医療研究センター、脳内の神経伝達を増強する新たな分子を発見

国立精神・神経医療研究センター神経研究所の神経薬理研究部部長 木村英雄氏らのグループは、脳内で硫化水素(H2S)から生成されるポリサルファイド(H2Sn)がシナプスによる神経伝達を活性化させている仕組みを明らかにするとともに、ポリサルファイドが神経伝達を増強させる新たな分子であることを発見した。

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木村らは、脳内で硫化水素が結合してポリサルファイド(H2Sn)(n = 2~7)が生成され、H2Snがアストロサイトへのカルシウムイオン流入を誘導することで、アストロサイトがグルタミン酸やATPといった化学物質をシナプスに向けて放出し、神経伝達を増強するという仕組みを明らかにした。

また、ポリサルファイドには硫化水素の300倍以上強力なアストロサイト活性化作用を持つことも分かり、神経伝達を増強するに十分量のポリサルファイドが脳内に存在することも分かった。さらには、ポリサルファイドがアストロサイトへのカルシウムイオンチャネル(TRPA1チャネル)に働きかける物質(内在性リガンド)である可能性が高いことも分かった。

今回の研究で、硫化水素がつながったポリサルファイド(H2Sn)が脳内の神経伝達を増強している新たな分子であることを明らかにした。

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