京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)教授の植田和光氏、同特定拠点助教の永田紅氏、教授の楠見明弘氏らの研究グループは、善玉コレステロール(HDL)の産生に必須である膜タンパク質ABCA1(ATP-binding cassette protein A1)を1分子レベルで観察し、HDLができる最初の段階を可視化することに世界で初めて成功した。
健康診断の血液検査での指標として用いられているように、血中HDL量の多い人は動脈硬化症を発症しにくいことがわかっている。しかし、アポリポタンパク質とコレステロールの複合体であるHDLがどのようなメカニズムでできるかは明らかになってなかった。
本研究では、細胞内の過剰なコレステロールを排出する能力をもつABCA1が、細胞膜上で二量体を形成することが、HDLができる過程で重要であることが初めて示された。この結果は、HDLができるメカニズムを解き明かすうえで重要であり、本成果をさらに発展させることで動脈硬化症の予防や治療法の開発につながると期待される。
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