NECなどが共同開発した映像符号化技術が,新国際標準規格「HEVC」の最終案に採用

日本電気(NEC)などが共同開発した映像符号化技術が,4K映像のインターネット配信,スーパーハイビジョン放送,フルHD映像のモバイル端末配信において利用が期待されている次世代映像符号化方式「HEVC(High Efficiency Video Coding」の国際標準規格最終案に採用された。この方式は,今年5月ごろに正式な標準規格となる見込みだ。

HEVCは,ワンセグなどの低解像度映像から,4K映像やスーパーハイビジョンなどの高精細映像までをサポートし,現行のAVC(Advanced Video Coding)方式に比べて約2倍のデータ圧縮率を実現する。これにより,フルHD映像コンテンツのモバイル配信や,高い臨場感を実現する4K映像のインターネット配信,スーパーハイビジョン放送が可能になる。

NECは,①画像中の細かな領域ごとに圧縮率を調整し,画質を最適化する画質調節パラメータ予測符号化技術(キヤノン,JVCケンウッド,ソニー,その他と共同開発)と,②複雑な絵柄を含む画像に対する圧縮データ量の肥大化を防止するPCM符号化技術を開発した。

画質調節パラメータ予測符号化技術は画像中の細かな領域ごとに圧縮率を調整し,圧縮データを復元する際に必要な画質調整用補助データの冗長性を排除するというもので,これにより,従来は表現できなかった画像中の細かい模様を表現可能にする。

圧縮データ量の肥大化を防止するPCM符号化技術は画像を符号化するブロックサイズおよび表現ビット精度を調節することで,絵柄の複雑さに関わらず一定の圧縮率で符号化するものだが,これにより,画像中に複雑な絵柄の画像があっても,圧縮データを効率よく伝送できるとしている。

NECでは,今後もこの技術に関する研究開発を進め,放送・通信事業の拡大に積極的に取り組む方針だ。

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