法医研、「自分は平均より優れている」と思う心の錯覚を初めて明らかに

科学技術振興機構 課題達成型基礎研究の一環として、放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センター 分子神経イメージング研究プログラム(須原 哲也 プログラムリーダー)の主任研究員 山田真希子氏らは、自分は平均より優れていると思うことは心の錯覚で、脳内メカニズムがこの錯覚に関係していることを世界で初めて明らかにした。

多くの人が、自分は平均より優れていると思う傾向がある。例えば、知能や技能、望ましい性格などについて、平均的な人と比べてもらうと、多くの人が自分は平均より上だと錯覚することが心理学研究で示される。このような優越の錯覚を持つことによって、人は未来の可能性を信じて目標に向かうことができると考えられている。一方、抑うつ状態では、自分について現実的なとらえ方をすることが知られており、錯覚の心理学的意義は注目されてきたが、その生物学的なメカニズムは不明だった。

今回研究者らは、優越の錯覚の程度を認知心理課題で測定し、脳にある線条体のドーパミン受容体密度と安静時の脳活動を画像診断装置のPETとfMRIで計測した。これら3つの関係性を調べた結果、優越の錯覚の程度が大きい人ほど、行動や認知を制御している「線条体と前頭葉」の機能的結合が弱いこと、この機能的結合が、線条体におけるドーパミン受容体の密度に依存していることが分かった。

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