横市大,SENDAと呼ばれる脳の病気の原因遺伝子を同定

横浜市立大学学術院医学群遺伝学准教授の才津浩智氏,同教授の松本直通氏らの研究グループは,SENDAと呼ばれるまれな脳の病気の原因遺伝子を同定した。SENDAは,脳内鉄沈着神経変性症の一つで,小児期早期からの非進行性の知的障害と,成人期に急速に進行する錐体外路症状(ジストニアやパーキンソン様症状),認知症を呈する神経変性疾患。

研究グループは,新しい研究手法を2家系に応用し,両患者に共通する遺伝子のデノボ変異を認めた。さらに3名の患者について変異解析を行ない,すべての患者でこの遺伝子変異を認めた。この遺伝子は,オートファジー(自食作用:細胞内の不要成分を自ら分解する働き)に必須の分子である酵母のヒト相同遺伝子である特定のタンパク質をコードしている。

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研究グループは,患者由来のリンパ芽球を用いた解析により,このタンパク質の発現が著しく減少しており,オートファジー活性の低下とオートファゴソームの形成異常が認められることを明らかにした。これは細胞内の自食作用の異常が脳内の細胞の異常が知的障害を引き起こす可能性を示唆するもの。同病の治療法や効果的な進行抑制方法の開発や,他の神経変性疾患や知的障害の病態理解にも寄与するものと期待される。

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