横市大,がん治療の標的酵素に対する高特異性インヒビターの分子設計に成功

横浜市立大学大学院准教授の東昌市氏のグループは,がん治療の標的酵素に対する高特異性インヒビターの分子設計に成功したと発表した。

悪性のがん組織では,マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)と呼ばれるタンパク質分解酵素が高発現し,がん細胞の浸潤・転移に関わっている。これまで多くのMMPs阻害剤が開発されてきたものの,様々な副作用が原因となって,がん治療薬としての利用に至っていなかった。これは20種以上存在するMMPsのうち,がん治療の標的となるMMPsのみに作用する選択的阻害剤の開発が困難であったことによる。

研究チームは,APP-IPと命名したペプチドが標的MMPsの一つであるMMP-2に対し,選択的阻害活性を持つことを見出し,その阻害機構を解明している。今回はこのAPP-IPと生理的MMPsインヒビタータンパク質であるTIMP-2を組み合わせることにより,MMP-2選択性,阻害活性および安定性を飛躍的に上昇させたインヒビタータンパク質の創出に成功した。
この高特異性MMP-2インヒビターにより,がんをはじめとしたMMP-2が関与する疾患の治療薬としての応用が期待される。

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