理化学研究所(理研),高輝度光科学研究センター,大阪大学,東京大学の研究グループは共同で,X線自由電子レーザ(XFEL)施設「SACLA」において,原子レベルの表面精度を持つ集光鏡を開発し,世界で最も強いとするX線レーザのマイクロビームを実現したと発表した。
研究グループは,理研が開発したELID(Electrolyc In-process Dressing)研削法と,大阪大学が開発したEEM(Elastic Emission Machining)加工法の二つの精密加工技術を駆使し,原子レベルの表面形状精度を持つ420mm長の大型集光鏡を作製した。この集光鏡をSACLAに適用し,理論どおりの集光サイズ(横方向:0.95μm,縦方向:1.20μm)を有するXFELのマイクロビームの実現に成功。これにより,XFELの光の密度を4万倍に向上させることができ,6×1017W/cm2の集光強度を達成した。このような超高強度ビームを利用することで,将来的には化学反応の瞬間の超高速の原子の動きや,タンパク質など生命活動に重要な分子の原子構造の観察などが期待されている。