国立情報学研究所(NII)・教授の山本喜久氏の研究チームは,半導体量子ドット中の単一電子スピンと通信波長帯の単一光子の間の量子もつれ状態の生成に成功したと発表した。
今回研究チームは,量子ドットから発生した波長910nmの単一光子を波長1.56μmの単一光子に波長変換した上で,その光を超高速検出する技術を開発。その結果,電子スピンと光子の間の量子もつれを生成することに成功した。忠実度と呼ばれる量子もつれの質を測る性能指数は,92%に達し,固体系で実現されたスピン-光子量子もつれで世界最高値を達成したという。また,光子のパルス幅の600psは,全系中で最短であり,高速動作を可能とする。今後は遠隔2地点にある2つの量子ドットからそれぞれ識別できない同一の単一光子を発生させ,それらを同時検出することで,量子メモリ間に量子もつれ状態を形成する量子もつれ配信実現へ繋げていく予定だ。