1.透明セラミックス材料について
1.1 セラミックスの透明化
セラミックスは「粘土・珪砂などの天然原料を使って焼いた陶磁器・琺瑯・セメントなどの総称」であり,紀元前から人類の暮らしに根ざした技術である。その応用分野は,食器や衛生陶器,碍子などの絶縁部品,積層セラミックコンデンサなどの電子部品など,私たちの暮らしにとって非常に身近な存在である。一方で,透明セラミックスに代表される光が透過するセラミックス開発の歴史は比較的浅く,1961年に報告された透光性アルミナがその先駆けである。
読者の皆様もご存じの通り,一般的なセラミックスは不透明であるが,その光透過特性はおもに材料内部での光散乱に支配されている。すなわち,図1に示すように,セラミックス内部での光散乱をなくすことができれば,透明なセラミックスが作製できる。セラミックス内部に存在する光散乱源としては,図2 に示すように,不純物,異相,空隙,粒界などがあることが知られている。そのため,セラミックスの透明化にあたっては,高純度原料を利用することによる不純物量の低減や異相発生の抑制,高密度成形体を作製することによる空隙量の低減,粒界での複屈折の低減が必要となる。粒界での複屈折をなくすためには材料の結晶構造が立方晶であることが求められるが,複屈折性の異方性結晶構造材料であっても,外部磁場による粒子の配向制御や急速焼結による粒成長の抑制を行うことで複屈折による光散乱がなくなり,透明化が可能となる。
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