1.はじめに
テラヘルツ波は,マイクロ波と赤外光の間に位置する未開拓の電磁波領域として注目を集めてきた。近年では,実用化を見据えた応用開発が進んでおり,6Gに代表される次世代無線通信への利用に加え,非破壊検査,材料分析,品質管理,医療・バイオセンシング,セキュリティ検査など,多様な分野において研究開発が活発化している1)。特に300 GHz帯を中心としたサブテラヘルツ波は,大容量無線通信と高分解能センシングの両方を実現し得る周波数帯として期待されている。
一方で,その社会実装の方は,研究開発の進展に比べて必ずしも十分に進んでいるとは言えない。従来のテラヘルツシステムは高価で大型なものが多く,専門的な知識や設備を必要とするため,限られた研究機関や企業での利用に留まってきた。テラヘルツ技術を広く社会へ普及させるためには,発振器や検出器をはじめとする要素デバイスの小型化,低消費電力化,低コスト化を進め,誰もが容易に利用できる環境を整備することが重要である。
そのためには,テラヘルツを応用したセンシングやイメージングといった,比較的導入しやすい応用分野から市場形成を行い,テラヘルツ技術が実際の課題解決に役立つのだ,と認識されていくことが重要であると考えている。こうした取り組みを通じてテラヘルツ関連産業の裾野を広げられれば,その先に無線通信をはじめとする大規模市場の創出が期待できるだろう。
このシナリオを実現する鍵として,本稿では共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode:RTD)を用いた小型テラヘルツ発振器および検出器について紹介する。2章でRTDの基本構成を取り扱う。3章では応用促進のための誰にでも使いやすい評価キット構成について述べ,4章ではそれを使った応用事例を紹介する。最後にテラヘルツ応用の本命とされる無線通信に関する将来展望について見解を述べ,結言とする。
【月刊OPTRONICS掲載記事】続きを読みたい方は下記のリンクより月刊誌をご購入ください。
本号の購入はこちら






