月刊OPTRONICS 特集序文公開

ミリ波・サブテラヘルツ波帯無線通信を支えるアンテナ一体型モジュール技術

著者:村田製作所 片淵啓介

1.はじめに

移動通信システムは,音声中心の第1世代から,データ通信,動画配信,スマートフォン,IoTへと用途を広げながら進化してきた。現在の5Gでは,Sub6帯に加えてミリ波帯が導入され,高速・大容量通信の実現が進められている1,2)。一方で,AI,XR,自動運転,産業用ロボット,デジタルツインなどの普及により,通信トラフィックは今後も増加を続けると考えられる。特に,端末からクラウドへ情報を送る上り通信の重要性が高まり,ネットワークには従来以上の容量,低遅延,高信頼性が求められる。

6Gでは,このような要求に応えるため,既存のSub6帯やミリ波帯に加え,ミッドバンドと言われるFR3帯,さらには100 GHzを超えるサブテラヘルツ波帯の利用が検討されている3)。無線通信において通信容量を拡大する最も直接的な手段は,より広い帯域幅を確保することである。高い周波数帯では広い帯域幅を得やすく,高速通信に有利である。一方で,高周波化に伴って自由空間損失や配線損失が増大し,通信距離や実装効率が低下する。このため,高周波帯を実用的な通信システムとして成立させるには,半導体,アンテナ,パッケージ,基板材料を一体で最適化する実装技術が不可欠である。本稿では,ミリ波帯およびサブテラヘルツ波帯の無線通信を支える実装技術として,アンテナ一体型モジュール(AiM:Antenna Integrated Module)に着目する(図1)。特に,RFICとアンテナを近接配置することによる低損失化,広カバレッジ化を実現するパッケージング技術,低損失多層基板材料,さらにサブテラヘルツ波帯への展開について述べる。

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