1.はじめに
衛星通信では,静止軌道衛星から地上の広範囲をカバーする通信と低・中軌道衛星でグローバルにエリアをカバーする衛星コンステレーションの通信がユースケースに応じて利用されている。扱うデータ量の増大に対して,高速・大容量通信が可能で高セキュリティという特徴を有する衛星光通信は,今後も需要拡大し続けると予想されており,今後,宇宙ネットワークと地上ネットワークの連携により,あらゆる場所に対して切れ目のなくデータを提供することが可能になると考えられている。このネットワークが実現すると,衛星通信は地上ネットワークに並ぶ基幹インフラとなることが期待されている1)。
衛星から地上間の光通信では,天候などの気象条件や大気擾乱が通信を成立させる課題である。天候に対してはサイトダイバーシティや可搬型光地上局等による克服が研究されている。特に日本のように降雨が多く光地上局が少ないことを考えるとこういったインフラの必要性が高く,それらを利用する技術の獲得が重要な要素である。また,大気擾乱に対しては,受信光を検出してアクチュエータにより擾乱の影響を補償する必要がある。光を安定して受信することで信号の受信効率を向上し,回線品質の低下を克服する技術の獲得も重要な要素となっている。また,宇宙ネットワークの将来的な普及に向けて,光地上局を小型・軽量なシステムとして構築することも研究課題となっている。
ニコンでは,宇宙光通信関連で光アンテナ・精追尾光学系・光アンプなどの光学機器開発を行っている。本稿では,それらの研究のひとつとして情報通信研究機構(NICT)と開発を行ってきた可搬型光地上局の精追尾光学系の受信技術について紹介する。
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