1.SWIR センサの概要
1.1 SWIR の特長
SWIR(Short-Wavelength Infrared・短波長赤外)は,可視光領域に隣接する900-2500 nmの波長帯域の非可視光領域に位置する( 図1( a ))。SWIRに感度を有するSWIRセンサは,水分を検出する,物質を識別する,透過して見える,熱を検知する等,可視光では捉えることのできないSWIR特有の情報を撮像することができる(図1(b),(c))。近年,SWIRセンサの産業界への活用が活発に進められており,産業機器,医療,セキュリティ向けを中心にSWIRセンサの需要が拡大している。
1.2 SWIR センサの基本構造
図2( a )に可視光からSWIRにおけるSi と化合物半導体InGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)の吸収係数を示す。SWIRはSi の吸収波長限界よりも波長が長いため,Siを光電変換層とするCIS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)とは異なり,SWIRセンサは1700 nmまでの波長を吸収できるInGaAsを光電変換層として用いる。
図2( b )に示すように,SWIRセンサの基本構造はInGaAs光電変換層と,Si基板上に形成された読み出し回路を1画素毎に接続した積層構造となる。InGaAs 層で光電変換したホールが,光電変換層内に形成されたp 型Wellと入射面側のp型InP(インジウム・リン)間に印加された電界で読み出し回路に読み出され画像化される。
1.3 従来のセンサの製造方法と課題
SWIRセンサの課題は商用ベースで径4 インチ以下に限定される小口径InP基板に起因する。サイズの異なる径8 インチ以上のSi ウェハに形成された読み出し回路と接続するためにチッププロセスを採用せざるを得ない。このためFlip-Chip マイクロバンプ技術による画素部InP/InGaAs チップとSi 読み出し回路の接合方式が採用されている。マイクロバンプは生産性の観点から微細化に適しておらずSWIRセンサの画素微細化への妨げとなっている。また,Face-to-Face 接合後に受光面側に配置するInP基板層により短波長側(可視光)の入射光が光電変換層InGaAs層に到達する前にInP 層に吸収され感度が低下する構造的な課題もある。InP層を薄膜化する対策が必要であるが,チップ形状での薄肉化は精度及び量産性の点で困難な技術であり,厚いInP層が受光面側に配置する構造となる。
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