アイデアを形にする加工機の一つとして,レーザ彫刻機(レーザカッターやレーザプロッタとも呼ばれる)がある。皮革や木材,紙・アクリルなどの材料を削ったり,切り抜いたり,マーキングすることで,例えば,オリジナリティ溢れるパーソナルギフトが完成する。
最近ではこの装置を備えたカフェも登場するなど,ものづくりムーブメントを支えるデジタルマニュファクチャリング機器として注目されている。工業分野ではサイン・ディスプレイ業界や木工加工業界,衣料繊維業界,文具業界などに導入が進んでおり,独自の市場を形成している。
現在,国内においてレーザ彫刻機市場には米国UNIVERSAL LESER SYSTEMS(ユニバーサル社),台湾GCC,オーストリアtrotec,フランスGRAVOGRAPH,米国EPILOG LASERなどのメーカが参入しており,このうち,ユニバーサル社とGCCのシェアが高い。この2社で市場の70%を占めると言われている。
搭載されている発振器は数十W~百数十Wの低出力タイプの封じ切りCO2レーザが大半を占める。加工用途に応じてはYAGレーザやファイバレーザを搭載したものも製品化されている。
ユニバーサル社のシステムを国内販売しているのは横浜システムズとユー・イー・エス。ユニバーサル社は発振器単体の販売も行なっており,CO2レーザ発振器は自社で開発している。
GCCのシステムの国内販売を手掛けているのはコムネット。発振器は米国シンラッド社製のものを搭載。また,イタリアのSEIレーザ社製の大型テーブル加工機もラインナップしている。
trotec社は日本法人を設置しているが,システムは防塵性を高めているほか,レーザヘッドにマイクロカメラを取り付けられるように設計されている。搭載している発振器は機種によってイラディオン社製とシンラッド社製を採用している。
EPILOG LASERはレーザコネクトとテクノロジックが国内販売を行なっている。発振器は米国コヒレント社製とシンラッド社製のものを搭載している。
レーザを利用することで従来の加工では得られない微細加工が可能になるため,“ものづくり”の新たな可能性を引き出すことができるとして各社ともに市場での積極的なアプローチを展開している。今後の動向が注目されるところだ。