兵庫県立大学 鳴沢真也
1 はじめに
1.1 iET,存在の可能性
地球外の知的な生命(以下intelligential Extra TerrestrialのアクロニムでiET)が存在するか否かという問題は,少なくとも古代ギリシャ時代までさかのぼることができ,エピクロス,ルクレティウス,アナクサゴラス,デモクリトスなどによる議論が記録として残されている。
現在では,天文学の観測技術が向上し,太陽系外に続々と惑星が発見されるようになった(2013年5月現在で885個)。中には,ハビタブル惑星(後述)も見つかっており,ちょうど本稿を執筆している時も,地球とほぼ同サイズであるハビタブル惑星,ケプラー62 fの発見が報道された1)。天の川銀河における恒星数は,1011個という膨大なものであるため,このようないわば「第2の地球」も相当数存在すると考えられる。
このような惑星に海が存在していれば,生命が誕生する可能性は大いにありうると多くの科学者は考えている。さらに,それが知的な生物まで進化する可能性についても,可能性を示唆している専門家もいる(有名な生物学者の例としては,リチャード・ドーキンス,スティーブン・グールド,サイモン・コンウェイ・モリスなど)。
存在するかどうかではなく,どの程度存在しているかがむしろiETの問題であると言えるかもしれない。天の川銀河における文明数は,天文学者フランク・ドレイクが考案した方程式(ドレイク方程式)により概算することができ2),例えば,かの有名なカール・セーガンは106個3),ドレイク本人は104個としている4)。
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