光伸光学工業は,情報通信研究機構(NICT)が開発したサブナノ層間分離技術等の結晶成長技術を使い,量子ドットゲインチップを用いた狭間隔2波長同時発振レーザ光源を開発した(ニュースリリース)。
電気駆動でミリ波やテラヘルツ波等の高周波電波を光変調器により発生させるには困難が伴うため,光から電波変換の技術が期待されているが,これまでのシステムは複雑で大型化する問題がある。また,2台のレーザ間の波長間隔の設定が困難という問題があった。
光伸光学工業は,NICTの委託研究において,量子ドットゲインチップを使用したT-Oバンドの波長可変レーザ光源の開発を行なっている。この委託研究における成果の一つとして,2波長同時発振レーザ光源を開発し,世界初となる狭い光周波数間隔(50GHzまで)の2波長同時発振に成功した。
単一の光ゲインチップで2波長同時発振するためには,均一な離散的発振特性をもつ量子ドット光ゲインチップが必要となる。NICTが開発したサブナノ層間分離技術等の結晶成長技術を用いた量子ドット光ゲインチップは,高品質な量子ドット構造が形成され,その要求を満たしている。
今回の成果は,NICTの技術を用いた量子ドット光ゲインチップによる多波長同時発振技術をベースとして,光伸光学工業の外部共振器構成技術と高精度な光フィルタリング技術を組み合わせることで実現した。
このレーザにより,光周波数の異なる2波長を単独光ゲインチップの光源装置から発振させることが可能となり,2波長レーザを活用したシステムが低コストでシンプルに構築することが可能となる。
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