東工大ら,高温超電導のカギとなる新しいペロブスカイト型酸化物超伝導体を発見

山梨大,東工大,広島大らの研究グループは,新規ビスマス酸化物超伝導体(Na0.25K0.45)(Ba1.003(Bi1.004O12を発見した。この超伝導体はバリウムとナトリウムおよびカリウムが規則的に配列するA-サイトオーダーダブルペロブスカイト型構造であり,高温超伝導体探索およびメカニズムの解明に新たな指針を与えるもの。

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超伝導体は,リニアモーターカーやMRIなどで用いられている重要な機能材料だが,超伝導を示す温度が極低温であるため,冷却に膨大なエネルギーが必要となっている。この問題を解決する夢の材料「室温超伝導体」を目指した研究が続けられており,また,高温超伝導発現メカニズムの解明は,科学的に重要な未解決問題の一つとなっている。

研究グループは,人工水晶などの合成に用いられている水熱反応を用いることでナトリウム,カリウム,バリウム,ビスマス,酸素で構成されるペロブスカイト化合物を合成し,超伝導転移を27 Kで確認した。また,圧粉体においてゼロ抵抗を確認した。

電子線回折とSPring-8を用いた高輝度放射光回折実験により,これまでに報告されているペロブスカイト型超伝導体とは異なり,A-サイトオーダーダブルペロブスカイト型構造と呼ばれる,長周期の結晶構造をもつことがわかった。

A-サイトオーダーダブルペロブスカイトで超伝導が見つかったのはこれが初めて。また,無機材料としては比較的低温の220 ℃で合成できることおよび毒性の強い元素が使われていないことも,この新規超伝導体の優れた特長となっている。

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