理研など、ブラックホールに落ち込む最後の1/100秒の解明へ

理化学研究所、京都大学、日本大学、東京大学は、代表的なブラックホール天体である「はくちょう座X-1」をX線観測衛星「すざく」で観測し、ブラックホールに高温ガスが落ち込む最後の100分の1秒に、10億度以上にまで急激に加熱され、高エネルギーX線を出すことを突き止めた。これにより、ブラックホールの直接的な証明に一歩近づくことができた。

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ブラックホール天体からのX線強度は激しく変動しており、その強度変動曲線はいくつものピーク(ショット)をもつことが知られている。このピーク時に、まさにガスが塊となってブラックホールに落ちこむと考えられている。感度に優れた硬X線検出器を用い、ショットをいくつも重ね合わせてX線光子をたくさん集めるという独自の手法(「重ね合わせショット解析」)を適用することにより、初めてブラックホールにガスが落ち込む時のガスの温度変化を測定することに成功した。

その結果、ブラックホールにガスが落ち込む最後の100分の1秒という瞬間に、ガスが10億度以上まで急激に加熱されることを発見。中性子星など表面がある天体の場合、数千万度の天体表面からの強い放射が落ち込むガスを効率よく冷やすため、ガス温度が急激に10億度にまで加熱されることはない。急激に10億度に加熱されたということは、中心に表面の無い天体、すなわちブラックホールがあることを意味する。

今後、共同研究グループは、次期X線観測衛星「ASTRO-H」と世界初の偏光衛星「GEMS」の開発•研究に取り組み、ブラックホールの徹底解明を目指す。

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