日本電信電話(NTT),日本電気(NEC),富士通は1チャンネルあたり400Gb/sのデジタルコヒーレント光伝送技術の実用化に向けた共同研究開発を開始したと発表した。
3社は総務省からの委託研究「超高速光伝送システム技術の研究開発」(2009年度),「超高速光エッジノード技術の研究開発」(2010~2011年度)において,100Gb/sのデジタルコヒーレント光伝送方式の研究開発を行ない,2012年にはデジタルコヒーレントDSP-LSIを商用化させた。今回3社はここで培った技術を再活用し,さらなる大容量光伝送と低消費電力を実現するため,総務省の委託研究「超高速・低消費電力光ネットワーク技術の研究開発」のもと,400Gb/sの光伝送方式の実用化に向けての要素技術の研究開発に取り組む。
具体的には,100Gb/s伝送で採用されている4値位相変調に加え,さらに多値化を図った16値の直交振幅変調を採用し,400Gb/s伝送の実現を目指す。また,これを60チャンネルに高密度多重することで,1本の光ファイバあたり24Tb/sの超大容量光ネットワークを構築する。実用化において求められる低消費電力化には装置数の削減につながる長距離伝送技術が必要だが,これまで多値変調信号の長距離化の主要制限要因であった光ファイバ中の非線形光学効果についての補償技術を確立し,従来の波長分散・偏波モード分散補償技術の高性能化と合わせ,長距離伝送を実現する。さらに伝送路の状況に応じて同一のハードウェアで様々な変調方式を実現する適応変復調技術も開発する計画だ。