本講座の目的
近年、画像処理の分野に大きな変化が起きている。それは、深層学習に基づく画像処理のブラックボックス化である。画像処理に関わる豊富な経験や知識が無くとも、期待される処理目標が達成可能であるということで、多くの技術者が深層学習方式に基づく画像処理に関心を寄せている。これまで蓄積されてきた画像処理技術と知識・経験は深層学習によって全く不要になるのであろうか。この疑問に対する答えは、画像処理への関わりに応じて異なるものとなるであろう。深層学習の中心的役割を果たしているニューラルネットワークでは、多くのパラメータが学習によって決定される。しかし、これらのパラメータが有効に機能しているのか、そもそもどのような機能を果たしているのか等、ネットワークの評価に関する大きな課題が存在する。この評価を行う上で、これまでに蓄積されてきた画像処理に関する知識と経験が重要な役割を果たすことができる。より優れたネットワークシステムを開発していくためにも、深層学習の中で行われる画像処理の本質を見極めていくことが大切である。
このような観点から、本講座では深層学習の代表格である畳込みニューラルネットワークを念頭において画像処理の基本となる2次元畳込み型の画像フィルタに光を当てるとともに従来用いられてきた画像における各種の不変特徴の概念とその抽出手法についても概観する。講演の後半では、深層学習方式も含め、機械学習による画像処理の事例について紹介する。また、各種処理の簡単な Python コードとその実行例についても併せて眺める。
講師:長橋 宏氏(東京工業大学名誉教授)
講義内容:1.本講座の目的と背景
2.基盤的画像処理の技術と知識
3.画像の導関数とスケール空間
4.画像の特徴記述子
5.機械学習とパターン分類
6.機械学習を用いた画像処理
7.深層学習と画像処理
8.画像処理と深層学習の展望
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