光設計研究グループ 第75回研究会   「インフラモニタリングのための光技術」

光設計研究グループ 第75回研究会   「インフラモニタリングのための光技術」

日時:
会場:
板橋区立グリーンホール601会議室/オンライン(Zoom)
主催:
一般社団法人 日本光学会 光設計研究グループ 代表:長谷川 雅宣 (キヤノン)

近年、インフラの老朽化による事故リスク、気候変動による災害リスクの上昇が懸念されています。光技術はこのようなリスクを抑制するためのモニタリング分野に大きな貢献が見込まれ、盛んに研究開発が行われています。本研究会では、光技術を応用したモニタリング技術について、様々な分野の方々にご講演いただく予定です。また、今回は IOF(板橋オプトフォーラム)の一環として開催いたしますので、会場では基調講演や企業展示の機会もございます。是非そちらも併せてご活用ください。

【各講演概要】
1. 赤外線およびテラヘルツ計測に基づくインフラ設備構造物の状態監視・非破壊評価技術
阪上 隆英 (神戸大学)
様々な工業分野でインフラ設備構造物の経年劣化が問題となっており、遠隔から広範囲に渡りそれらの状態監視・非破壊評価を行うことができる手法への要望が高まっている。講演者らのグループは、遠隔、広範囲、非接触、高効率という要求に応えることができる計測手段として、「光」を用いる手法が最も効果的であると考え、これまでに近赤外線、中赤外線さらにはテラヘルツ領域の「光」を利用した状態監視・非破壊評価技術の開発に取り組んできた。本講演では、それらの中から、赤外線カメラによる漏洩ガスの4D計測、近赤外線計測に基づく塗膜劣化評価、赤外線サーモグラフィによる長大鋼橋梁の疲労き裂検出と熱弾性応力計測に基づくき裂進展性評価、テラヘルツ計測による石油タンク底部の健全性評価などの事例を紹介する。

2. 一般車両を活用した社会インフラ点検の先端技術
畑崎 壮哉 (株式会社リコー)
日本のインフラ点検は従来目視による確認や手入力による点検記録作成が主な手段であったが、近年新規技術による点検の効率化・高度化が進められている。一方で路面・トンネル等で利用される走行型計測装置は大型の専用車両が多く、点検コストが高いことや山奥のインフラに対応できないことが課題である。本講演では、様々な産業カメラと画像処理技術を活用した小型可搬式の路面点検およびトンネル点検装置について紹介する。

3. 分布センシングに使われる光ケーブル・ファイバの傾向と課題
岸田 欣増 (ニューブレクス株式会社)
現在注目を集める IoT の実現には、温度・ひずみ・流体の遷移など実物の物理的情報を収集できる光ファイバ分布センシングが大きく期待されている。計測機器は近年の高度化で高い精度と信頼性が実証された反面、光ファイバとケーブルへの通信用途と異なる要求は業界でも十分認識されていなかった。現場環境での信頼性や計測性能、接続特性や超長距離での光特性など、センシング用途特有の問題を著者らの 20年間の経験から報告する。

4. ドローンを用いたレーザ測量の現状と未来
西山 哲 (岡山大学)
フィジカル空間と融合させたサイバー空間上に日本列島を再現し、その空間内で災害をシミュレートすることで、地球環境の変化がもたらす災害の激甚化に対処できる有効な防災・減災計画を考察する。このような Society5。0 が拓く新たな社会を見据えた技術が急ピッチで開発されている。その代表的なものにドローンとレーザ光を組み合わせた測量およびモニタリング技術がある。ここでは、その応用が期待されている幾つかの事例を紹介する。

5. 人工衛星活用に向けての基礎雑学~衛星データの活用可能性~
寳楽 裕 (株式会社パスコ)
近年その有用性から様々な分野での活用が期待されている人工衛星に関しての基礎知識を紹介。人工衛星の種類や地球からの高度、小型衛星などを紹介し、更に地球観測衛星で利用しているセンサについて紹介、そのデータ種類や活用などについて、最近のトピック的活用事例、裏話などを紹介させていただきます。

6. シート状テラヘルツ・赤外撮像センサと非破壊マルチビュー画像検査応用
河野 行雄 (中央大学)
観測対象を壊さず内部の異物や破損を検知する非破壊検査は、予期せぬ事故を防ぎ安全安心を確保するための重要な社会的ニーズとなっている。我々は、カーボンナノチューブ膜材料を用いた、折り曲げ性・伸縮性のあるテラヘルツ・赤外撮像センサを開発した。この技術により、 3 次元曲面形状を持つ物体のマルチビュー画像化が可能となり、対象の形状や測定環境に制限されにくい自由度の高い非破壊画像検査へ応用展開できる。本講演では、センサの基礎的な特性、並びに工業製品やインフラ検査等への応用に関する近年の成果を紹介する。

【プログラム】
10:00 開会の挨拶
10:05 1.赤外線およびテラヘルツ計測に基づくインフラ設備構造物の状態監視・非破壊評価技術 阪上 隆英(神戸大学)
10:45 2.一般車両を活用した社会インフラ点検の先端技術 畑崎 壮哉(株式会社リコー)
<昼休憩> (11:25-13:00)
13:00 IOF 基調講演(2 階ホール) 理研小型中性子源システム RANS プロジェクトの現状 ―橋梁内部の塩分現場検出、劣化可視化の実現、応力計測へむけて― 大竹 淑惠(理化学研究所)
14:10 3.分布センシングに使われる光ケーブル・ファイバの傾向と課題 岸田 欣増(ニューブレクス株式会社)
14:50 4.ドローンを用いたレーザ測量の現状と未来 西山 哲(岡山大学)
<企業展示(1 階ホール)・コーヒーブレイク> (15:30-16:05)
16:05 5.人工衛星活用に向けての基礎雑学~衛星データの活用可能性~ 寳楽 裕(株式会社パスコ)
16:35 6.シート状テラヘルツ・赤外撮像センサと非破壊マルチビュー画像検査応用 河野 行雄(中央大学)
17:15 閉会の挨拶
17:30 交流会 (当日の準備状況により、開始時間が変更となる可能性があります。)

※題目・講演順は変更となる場合があります。予めご了承ください。最新の情報はホームページをご確認下さい。

定員:
現地参加:150 名(定員に達した後の申込みはその旨ご連絡致します。) オンライン参加: 無し
URL:
http://www.opticsdesign.gr.jp/kenkyu.html

お問合せ先:三菱電機株式会社 森本 智英
E-mail:k75@opticsdesign.gr.jp