月刊OPTRONICS 特集序文公開

光計測・光操作技術を用いた睡眠×脳代謝研究

1.はじめに

近年の脳科学の発展において,光技術が果たす役割は極めて大きい。特に,動物実験における光操作と光計測技術は,従来の電気生理学的手法による神経活動計測や,電気刺激あるいは薬物投与による神経活動操作による知見を補完し,時空間的により正確性の高いデータを提供することで神経科学の発展に大いに役立ってきた。脳科学研究の一翼を担う睡眠研究分野においても,ヒトや動物の睡眠中の脳活動解明に向け,神経発火活動を秒単位で操作するオプトジェネティクスや蛍光プローブを用いた細胞種特異的な神経活動計測などの技術を駆使した研究が数多く行われてきた。

それにより,睡眠-覚醒を引き起こす神経群の同定や,ノンレム・レム睡眠中に特異的に生じる様々な神経活動パターンの観察,さらには睡眠中の海馬神経の活動が記憶に与える影響の解明など,多くの重要な知見が世に出されている。本稿ではその中で,筆者らが最近報告した,神経活動を下支えする脳のもう一つの活動である脳のエネルギー代謝活動が,覚醒中枢神経の一つであるセロトニン神経の制御を受けて睡眠覚醒依存的に変動するという研究成果を紹介する。本研究はマウス生体脳の光操作と光計測を組み合わせて達成したものであり,光技術を駆使した比較的ユニークな動物睡眠研究の一例としてお読み頂ければ幸いである。

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