1.はじめに
顔と身体は,ヒトの社会的な特徴に関する多くの情報を伝えている。我々の日常生活を考えると,自分と対峙している人物が誰であるか,その感情状態などを認識する際に,顔が重要な情報であるのは自明であろう。このように,社会的シグナルというと顔に焦点が当てられがちであるが,身体もまたヒトにとって重要な社会的刺激である。例えば,他者が遠方にいる場面や,暗い場所で顔が視認しにくいような場面では,顔よりも身体から得られる情報がより有用である。一方で,顔と身体の処理は必ずしも独立ではなく,相互に影響しあっていることも報告されている。このように,顔と身体は私たちヒトにとって,社会的コミュニケーションの重要なツールの一つであり,特殊な視覚刺激である。
これまでの研究から,成人が有する洗練された顔や身体情報からの他者認知能力の素地となる処理が生後約8 ヵ月の期間で発達することが明らかにされつつある。本稿では,機能的近赤外分光法(functional near-infrared spectroscopy:fNIRS)を用いた研究によって明らかにされてきた,乳児期における他者認知の発達を概観する。
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