月刊OPTRONICS 特集序文公開

フォトニック結晶レーザの光通信波長帯への展開

1.研究背景

フォトニック結晶レーザ(PCSEL)は従来型レーザでは実現が困難であった高出力および単一モード動作を両立する次世代の半導体レーザとして,様々な応用が期待されている。特に,1.3 1.5 μm帯の発振波長は,通信波長帯かつアイセーフ(eye-safe)な波長であることから,産業応用上非常に重要である。応用としては,高出力・単一モードの特徴を生かしたデータセンタ用の高出力外部光源や,高出力かつ以下の狭発散角のビームを生かしたLiDARLight Detection And Ranging)などのセンシング光源が挙げられる。また,近年では,地上-衛星間等での自由空間光通信用途に関する研究が活発に行われており,その光源として高出力・狭発散ビームの特徴を有するPCSELの利用が期待されている。

940 nm帯のGaAs材料系のPCSELでは,すでに50 Wの高出力かつ単一モードのレーザ動作が実証されている。我々は,その技術をInP 材料系に展開し,1.31.5 μm帯のPCSELを京都大学と共同で研究している。本稿では,PCSELの動作原理を述べたうえで,InP 材料系PCSELの作製技術とそれを用いて作製した1.3 μm帯および1.5 μmPCSELのレーザの特性について述べる。

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