月刊OPTRONICS 特集序文公開

大規模空間・波長多重技術を用いた超大容量光ファイバ伝送

1.はじめに
将来のSociety5.0社会では,サイバー空間と実空間が融合したサイバーフィジカルシステムを通じて,スマートシティやスマートファクトリ,防災・防犯システムが実現され,様々な社会課題の解決や経済活動の持続的な成長,安全・安心な社会の構築が期待されている。一方で,通信トラヒックは国内外で年率数10%の割合で増大を続けている。今後,AI(人工知能),VR/AR(仮想/拡張現実),IoT(Internet of Things)のための通信需要の更なる拡大が予想され,将来の通信インフラへの影響が懸念されている。このため,国内外において,サイバーフィジカルシステムの情報通信基盤に関する研究開発が行われている。この中では,多数の利用者が接続する有線・無線アクセス網や,多量のデータを扱うコア・メトロ領域やデータセンタ向けの光ネットワークの大容量化が重要な研究テーマとなっている。

将来に向けて増大し続ける通信トラヒックに対応するためには,光ファイバ伝送システムの継続的な容量強化が必要である。シャノンの定理を用いると,光ファイバあたりの通信容量Cは,C=N・B・log2(1+SNR)で表される。ここで,SNR:信号対雑音比,B:使用する信号の周波数帯域幅,N:ファイバ内の空間チャネル数である。そのため,光ファイバの伝送容量の拡大には,信号対雑音比の向上,信号の周波数帯域(=波長帯域)の拡大,空間チャネル数の増加が重要となる。本稿では,光ネットワークの大容量化に向けて,波長帯域の拡大に向けたマルチバンド波長多重技術,空間チャネル数の増加に向けた空間多重光ファイバ伝送技術について紹介する。

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