パナソニックは,低温水の余剰排熱を活用して発電する熱発電チューブを開発,200時間を超える検証試験で96℃の温水排熱から最大246W(換算値820W/m3)の発電性能を確認した。この値は,設置面積換算で太陽光発電の約4倍に匹敵する発電性能。
同社は,従来有効に利用されずに捨てられていた200℃以下の低温の未利用熱を活用するために,これまで主に研究されてきた平板型の素子構造ではなく,より使いやすいチューブ型の発電素子(熱発電チューブ)の研究開発を進めてきた。
開発した熱発電チューブは,2種類の異なる金属または半導体を接合し,両端に温度差を与えると起電力が生じるゼーベック効果を利用した発電素子をチューブ状に加工したもので,どんな小さな温度差からでも発電が可能。湯や蒸気,排ガスなど,身近な熱から発電ができる。
京都市東北部クリーンセンターにおいて熱発電チューブを組み込んだ発電装置による,温水からの発電検証実験を実施。センター内の温水配管と冷却水配管の一部を熱発電ユニット3組(1ユニットあたり熱発電チューブ10本)に置き換え,実際の余剰排熱等を利用して実験を進めた結果,820W/m3という高密度な発電を達成した。
施設内の限られたスペースに設置した大きさ0.3m3の発電装置(熱発電ユニット3台で構成)で,温水温度96℃,冷却水温度5℃の条件下で最大246Wの発電を達成した。体積あたりの発電量(820W/m3)は設計値を10%以上上回った。また,発電装置は,現在までに200時間以上の運転で安定した発電を続けている。
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