包装加工を支えるレーザマーカ―意匠性向上への利用に期待―

レーザマーカは「消えない印字」を実現し,微細印字を可能にする。こうした利点を持つレーザマーカは広範な産業分野で利用されているが,パッケージ(包装)分野に目を向けると,包装材技術の進展に伴いレーザマーカによる印字ニーズが高まっている。

また,2012年6月29日に厚生労働省が医療用医薬品向け包装において,新バーコードの表示を義務付ける通知を出したことも導入機運につながった。表示が義務付けられたのはGS1データバーで,現在表示されている一部の包装品はJANコードとITFコードが将来的に削除されていく見通しだ。これに対応するため,医薬品パッケージメーカは印字方法の変更などを進め,従来のインクジェットプリンタからレーザマーカに代替する動きが見られた。

製品のトレーサビリティがますます厳しく要求されている中にあって,インクジェットプリンタメーカはレーザマーカのラインナップを拡充させている。パッケージ分野では樹脂フィルムやプラスチック,紙などの包装材に対して優位性を持つCO2レーザマーカが主流だが,金属加工品などでは固体レーザマーカやファイバレーザマーカが選択される。

パッケージ分野における国内レーザマーカ市場はキーエンスやパナソニックデバイスSUNX,日立産機システム,京セラドキュメントソリューションズの国内メーカに加え,米国ビデオジェット・エックスライト社,米国リンクス社,イギリス ドミノ社などの海外メーカが参入している。

このうち,日立産機システムは2012年に同市場に参入した。従来のインクジェットプリンタにレーザマーカを加えることで多様化する印字ニーズに対応するもので,発振器は自社開発とし,出力30Wのシステムを上市している。当初は自社のインクジェットプリンタからの置き換え需要を見込んでいる。

日立
日立産機システムのCO2レーザマーカ

京セラドキュメントソリューションズも2012年にレーザマーキング事業を立ち上げた一社だ。同社はトナーの包装にレーザマーカを採用しているが,そこで培った独自のビーム制御プログラムをマーキングシステムに展開させ,パッケージの意匠性を向上させるアプローチで,既存の印字方法では得られない新たなデザイン表現を提案している。

京セラ
京セラドキュメントのCO2レーザマーキングシステム

システムに搭載しているのは出力30Wのキーエンス製CO2レーザマーカだが,金属容器などへの加工向けにYVO4レーザマーカも保有し,多品種小ロット対応で受託加工を手掛けている。一方,システムの外販も行なっており,これまでに段ボールマーキング専用システムを製品化し,納品している。

レーザマーカは製品の高付加価値化を可能にするツールとして普及が期待されているが,今後さらなる市場拡大に向けてはその優位性を如何に訴求できるかがポイントになると言えるだろう。

※この記事は月刊OPTRONICS 2013年12月号に掲載したものです。