1. はじめに
米国調査会社BCC Researchによると,世界の光コヒーレンストモグラフィー(OCT)技術市場は,2013年に7億2,270万米ドル,2014年に7億9,540万米ドルへ達した。同市場は今後7.9%のCAGRで推移し,2019年に12億米ドルへ達すると予測されている。
同社の調査結果をまとめた調査レポート「光コヒーレンストモグラフィー(OCT)の世界市場および技術」の中から一部をご紹介したい。
2. 概要
OCTは強力なイメージング技術として登場し,MRIや顕微鏡検査など他の技術としばしば比較される。実際には,これらの技術はそれぞれ違う形態の組織のイメージジングに適している。例えば,OCTはより短い光波を利用するため,高い解像度を得られる。一方,超音波は組織深部への到達を特徴としている。
OCTの応用先として大きな部分を占めるのは黄斑疾患である。そのうち,黄斑円孔,黄斑浮腫,黄斑変性症,中心性漿液性脈絡網膜症,黄斑部網膜上膜,視神経乳頭小窩黄斑症,炎症性網膜疾患などでは,特にOCTの利用が進んでいる。
また,より鮮明な体内画像を得るために,カテーテル,顕微鏡,腹腔鏡と組み合わせて,OCTが用いられている。さらに,OCTを組み込むことで,インターベンション手術の正確性を高めるという取り組みも増加している。
OCTの特徴を下記に整理した。
2.1 高い画像分解能
OCTは3μmから15μmの高い解像度を提供するが,深達度は低い。1 mmから2 mm以上の範囲では光の分散により画像化が難しいからである。
2.2 非侵襲性
OCTは低エネルギーかつ低出力の中波長の赤外線を使うため人体への悪影響が少ない。OCTは同期性の高い広帯域パルスレーザーを必要とする。
2.3 3Dイメージング
光を照射する部位に依存はするものの,高速かつ高解像度の3D画像が得られる。
2.4 カテーテル,内視鏡との併用
光プローブを血管内に挿入するため,カテーテル,内視鏡が用いられる。しかし,適切な処置をしないと,血液が赤外線を乱反射し,明瞭な画像が得られない。
2.5 取扱の簡易性
OCTは軽量で設置も簡単かつ迅速であるが,専用の造影剤を使う必要がある。