3.3 ファイバーレーザーの市場
アジア太平洋地域が最大の市場ではあるが,ファイバーレーザーではその他の地域との差はそれほど大きくない。欧州,北米地域は先端技術の初期採用者としての地位を守るだろう。
3.4 最終用途別分析
通信向けの利用が全用途に占める割合は2014年の11%から2020年までに12.8%まで拡大する。
ビッグデータやIoTの普及によって通信トラフィックは今後も増加すると見られている。また,データセンターの内部,あるいはデータセンター間の接続に光ファイバーが用いられることが市場拡大を後押しするだろう。
医療用途2014年の時点では通信用途とほぼ同じ市場規模であったが,2020年までに10.4%から9.8%にまでシェアが減少し,絶対額でも通信向市場に追い抜かれるだろう。
産業・自動車用途はファイバーレーザーの最大市場ではあるが,成長率はそれほど高くない。
一方,小売り向け用途は金額こそ小さいものの,その成長率は18.2%と非常に高いため,コアな技術を持つ企業にとっては,狙い目と言えるかもしれない。
4. 最後に
レーザー市場は非常に細分化されており,全体的な方向性を見て取ることは困難である。一方で,用途から見ると,3Dプリンティングなど魅力的な応用がどんどん生まれている。
内閣府総合科学技術・イノベーション会議による革新的研究開発推進(ImPACT)プログラムでは,光パラメトリック発振器で得られたパルスをニューロンに見立てる量子人工脳の開発プロジェクトが進められている。また,NASAではレーザー光推進で火星まで行くという,まるでSFのような研究が進行中だという。このように,レーザーは今後も技術革新と寄り添い進化していくだろう。
株式会社グローバルインフォメーション
マーケティング部 部長
(月刊OPTRONICS 2016年4月号掲載)
このレポートは,㈱グローバルインフォメーションが扱う各国の市場調査会社の報告書をもとに執筆したものです。豊富な資料を揃えていますので,より詳細なデータや関連データだけでなく,その他にもお探しのデータがある場合,同社までお問い合わせください。
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