2. 世界の波長タイプ別中赤外線レーザー市場
①波長可変レーザー
中赤外光源は,LIDAR,分光計測,ガス検知,自由空間通信における利用可能性を背景に近年ますます関心を集めている。
Tm添加ファイバーを793 nmで励起すると,1.6μmから2.1μmの中赤外領域で発振する波長可変ファイバーレーザーが得られるが,ツリウムイオンの緩和効果により,高効率であることが特徴となっている。
波長可変レーザー光源は,分光計測,リモートセンシング,材料加工,キャビティリングダウン法など,様々な用途で用いられている。波長可変レーザー光源を用いれば,各用途の要件を満たしたままアイセーフ対応も可能になっている。
波長可変レーザー市場が最も大きいのは北米で,2014年の1億4,410万米ドルから,CAGR 4.6%で成長し,2019年には1億8,070万米ドルに達すると見られている。欧州が北米に次ぐ市場で,2019年には1億6720万米ドルに達する。
②波長固定レーザー
波長固定中赤外レーザーはCWレーザーとして,4μmから10μmの波長域において,様々な用途に利用されている。波長固定レーザーには,ひとつの光源から一種類の波長レーザーしか得られないという制限条件があり,代わりに,波長可変,広帯域レーザーが用いられることも多くある。
量子カスケードレーザーと空冷機能によって,より高性能な波長固定レーザーが実現されている。最大出力は典型的には2 W程度で,光ファイバテスト,シーン生成,自由空間通信などに用いられる。量子カスケードレーザー(QCL)は,単一のプラットフォームで,パルス,CWの両発振が可能。新しいHFQD(High-Fidelity QCL Drive)を用いたFLCにより,より高度なパルス機能,変調機能が実現している。
波長固定レーザーはほとんどの環境下において室温で動作する。レーザー発生器には手ごろな大きさのファンが取り付けられている。必要電力は100 VACから240 VAC程度で,USB2.0からの電源供給で事足りると見られている。動作温度は摂氏15度から35度くらいで,それ自体の冷却時間は必要ない。
波長固定レーザーの市場規模は北米市場が一番大きく,2014年から2019年の予測期間中,他の地域をリードして行く。同市場は2014年の3,040万米ドルからCAGR 3.0%で拡大し,2019年には3,520万米ドル規模に達する。欧州,アジアがこれに続き,その他地域の市場規模は大きくないが,13.6%と最も急速に拡大すると見られている。