(昔流行った変なモデル)
最近は話題になりませんが,昔リニアモデルというイノベーションモデルがありました。基礎研究重視のモデルです。主張は,基礎研究から応用研究へ発展した場合こそ,産業として大きな成果が得られるので,したがって基礎研究は重要であるという主張です。
私としては,何故,イノベーションの過程を極端に簡略化したリニアモデルが話題になつたのか不思議な気がします。このモデルが提案された頃の,科学に対して持たれていた素朴な期待や夢の大きさが背景にあったためでしょうか。
(応用から基礎への自然な流れ)
基礎と応用は相互に関係しながら発展するので,開発を基礎と応用で区別することにこだわるべきではないと思います。敢えて言えば,開発が始められた動機や方向性には違いがあるとは思います。しかしその後方向性は,基礎と応用の間で行き来します。
人の願望の実現を目的とする技術では,その開発は応用から基礎への方が元来基本的な方向のような気がします。と考えますと,技術に関連する開発では,リニアモデルの主張とは逆に,応用から基礎的な課題が生み出されるという方向が自然なのだと思います。
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