超解像多光子顕微鏡

4. おわりに

本稿では,時空間集光技術によって,背景光の発生を抑制し,構造化照明技術によって,背景光の除去と空間分解能の向上が可能である干渉時空間集光顕微鏡を紹介した。レーザー走査を行う必要がない本技術の視野を広げることによって,1細胞の個性を観察しながら多細胞の相互作用を観察できるようになると期待できる。

謝辞

本稿で紹介した筆者らの研究成果の一部は,理化学研究所脳神経科学総合研究センターの並木香奈博士,河野弘幸博士,宮脇敦史副センター長,慶應義塾大学理工学部電子工学科の神成文彦教授との共同研究の成果である。本研究は,科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業さきがけ(JPMJPR14F2),公益財団法人光科学技術研究振興財団からの助成を受けて行われた。ここに深く感謝の意を表します。

参考文献
1)S. Hell and J. Wichmann, Opt. Lett. 19, 780 (1994).
2)E. Betzig: Opt. Lett. 20, 237 (1995).
3)M. G. L. Gustafsson, J. Microsc. 198, 82 (2000).
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5)N. G. Horton, K. Wang, D. Kobat, C. G. Clark, F. W. Wise, C. B. Schaffer, and C. Xu, Nat. Photonics 7, 205 (2013).
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7)O. D. Therrien, B. Aubé, S. Pagès, P. De Koninck, and D. Côté, Biomed. Opt. Express 2, 696 (2011).
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12)K. Isobe, H. Kawano, A. Suda, A. Kumagai, A. Miyawaki, and K. Midorikawa: Biomed. Opt. Express 4, 1548 (2013).
13)K. Toda, K. Isobe, K. Namiki, H. Kawano, A. Miyawaki, and K. Midorikawa, Biomed. Opt. Express 8, 2796 (2017).
14)G. Donnert, C. Eggeling and S. W. Hell, Nat. Methods 4, 81 (2007).
15)M. A. A. Neil, R. Juskaitis, and T. Wilson, Opt. Lett. 22, 905(1997).
16)K. Isobe, K. Toda, Q. Song, F. Kannari, H. Kawano, A. Miyawaki, and K. Midorikawa, Jpn. J. Appl. Phys. 56, 052501 (2017).

17)K. Toda, K. Isobe, K. Namiki, H. Kawano, A. Miyawaki, and K. Midorikawa, Biomed. Opt. Express 9, 1510 (2018).

■Super-resolution multi-photon microscopy
■①Keisuke Isobe ②Keisuke Toda ③Katsumi Midorikawa

■①RIKEN Center for Advanced Photonics/JST, PRESTO ②③RIKEN Center for Advanced Photonics

①イソベ ケイスケ
所属:国立研究開発法人理化学研究所 光量子工学研究センター/国立研究開発法人科学技術振興機構・さきがけ
②トダ ケイスケ ③ミドリカワ カツミ

所属:国立研究開発法人理化学研究所 光量子工学研究センター

(月刊OPTRONICS 2018年8月号)

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