力学特性のマイクロ断層可視化(多機能OCT)

1. 緒言

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航空機,自動車,電子実装部品,医療材料など様々な産業分野において,母材に樹脂材料を用いた高分子基複合材料(PMC)が急速に普及している。繊維強化された複合材料では,母材と強化材の界面が積層して存在することから,界面剥離などのマイクロスケールの内部欠陥から破壊に至る1)。材料内部における応力ひずみ集中などの力学的状態を定量評価するためには,一般に数値計算によって評価されているが,非破壊に応力・ひずみを計測する実験的アプローチの開発が切望されている。

また,ナノテク複合材料のように異方性や不均質性を有する材料の場合,マイクロスケールの応力・ひずみ分布計測の必要性に加え,力学材料定数の空間分布を非破壊計測する技術も望まれている。ひずみ分布の可視化法としてはデジタル相互相関法(DIC)が確立しているが,材料表面のひずみ分布を2次元検出するため,内部の変形挙動を計測することはできない。

また,応力分布の可視化法として光弾塑性法2)が知られている。力学複屈折現象に基づいて発生する偏光波の位相差を利用し,取得される干渉縞画像から応力解析する手法であるが,検出光は透過取得されるため平面応力状態の2次元応力場を想定しており,試料内部の応力分布を断層計測する事は不可能である。

近年,マイクロ断層イメージング法として,光干渉断層画像法(Optical Coherence Tomography:OCT)の開発が進んでいる3)。これは低コヒーレンス干渉計を用いて,材料内部の断層像を5μm程度のスケールにて非破壊検出する手法であり,結晶性樹脂材料やナノ粒子を混合した高分子基材料などは,内部の屈折率空間変化によりマイクロ断層可視化できる。また,偏光波の位相差を断層可視化する偏光感受型OCT(Polarization Sensitive Optical Coherence Tomography:PS-OCT)4)の開発も進んでいる。PS-OCTは2偏光波の干渉信号を分離断層取得し,その位相差分布をマイクロ断層可視化可能であるため,生体組織内部のコラーゲン線維配向の断層可視化に利用されている。

本稿では,PS-OCTから得られる2偏光波の干渉断層画像を用い,試料内部における応力分布とひずみ分布を同時にマイクロ断層可視化する,応力断層可視化手法(Optical Coherence Stressgraphy:OCSE)とひずみ速度断層可視化手法(Optical Coherence Straingraphy:OCSA)のハイブリッド非破壊検査可視化法を紹介する。OCSEは,2偏光波の干渉断層画像から光弾塑性効果に基づく2偏波位相差断層分布を算出し,干渉稿周波数解析に基づく応力解析アルゴリズによって2次主応力差分布をマイクロ断層検出する。

一方,OCSAは,OCT断層像のスペックルパターンの変形をデジタル相互相関法に基づいて断層検出し,ひずみ速度分布をマイクロ断層検出する。構築した多機能OCT・OCSE-OCSAハイブリッドシステムを高分子基材料に適用し,応力分布とひずみ分布の非破壊マイクロ断層可視化法について説明する。

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