OPERA,5例目のタウニュートリノ反応を検出

名古屋大学が主導する日欧共同実験OPERAは,2008年から2012年の5年間のビーム照射分のデータを解析し,ニュートリノ振動現象により出現したタウニュートリノ反応の5例目の検出に成功した(ニュースリリース)。

1998年にスーパーカミオカンデの実験で観測された大気ニュートリノ異常は,ミューニュートリノから,タウニュートリノへと変化したものと強く示唆されていたが,変化した先のタウニュートリノの検出には至らなかった。

OPERA実験は,加速器により生成したミューニュートリノが確かにタウニュートリノへと変化した証拠として,変化して現れたタウニュートリノをとらえる事で,大気ニュートリノ異常が確かにニュートリノ振動によるものである事を立証するべく,計画された。

タウニュートリノの検出は,タウニュートリノと物質の反応によって生成されるタウ粒子を検出する事で行なう。タウ粒子の寿命は1兆分の1秒よりも短く,崩壊するまでの飛距離は1ミリ程度であり,その検出には,極めて高い位置分解能が要求される。

OPERAでは,名古屋大学のオンリーワン技術である原子核乾板技術を用いてタウニュートリノ反応の検出を可能とし,1,250トンの巨大な検出器の中からミクロン精度の解析で,5例目のタウニュートリノ反応を検出した。

これにより,ミューニュートリノビーム中に検出した5例の事象をニュートリノ振動以外の既知の理由(背景事象)で説明できる確率は,1,000万分の1しかなくなり,物理科学の到達レベルとしては,目的としていた「ニュートリノ振動現象存在の立証」に成功したといえるレベルに達したとしている。

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