積水化学工業は,タイ(ラヨン県)の合わせガラス用中間膜の生産拠点に,新製膜ラインを増設する(ニュースリリース)。
同社の中間膜事業部では,自動車や建築物で使用される合わせガラス用中間膜の製造・販売をグローバルに展開しており,自動車向けの中間膜市場では世界トップシェア(2023年度,同社推測)を誇るとしている。
世界の自動車生産台数は今後,年率1~2%程度で成長し,2030年には98百万台(2023年90百万台)に達すると予想されている。
加えて,新エネルギー車(EVなど)へのシフトが加速しており,合わせガラス用中間膜は,フロントガラスのみならずサイドガラスやルーフガラスなど使用される部位が広がるとともに,補修需要も拡大していることから,自動車生産台数を上回る需要拡大を見込んでいる。
さらに,安全性・快適性・省エネ性など自動車性能に対するニーズの拡大を受けて,HUD対応,デザイン,遮音・遮熱など高い機能を付加した中間膜については,年率5%以上の高い成長率で推移すると考えているという。
同社ではこのようなニーズを背景に,2017年下期にメキシコ工場(モレロス州)で遮音中間膜を,そして2020年下期にオランダ工場(ルールモンド市)でHUD向けくさび形中間膜の本格的な生産を開始している。そして今般,タイにHUD用くさび形中間膜,カラー/デザイン中間膜を中心としたN-HPPの生産ラインの増設を決定した。
増産ラインの概要は以下の通り。
生産品目:合わせガラス用中間膜(通常膜,遮音膜,遮熱膜,カラー/デザイン膜,HUD用くさび形膜)
増強する生産能力:自動車700万台分/年の増強