東芝インフラシステムズ(TISS)は,画像情報により人物の在/不在やおおよその人数・活動量などを検知可能な人感センサー「SMART EYE SENSOR MULTI(スマートアイセンサーマルチ)」の後継機として,検知範囲を1.44倍に拡大した「SMART EYE SENSOR MULTI 2」を今月から発売すると発表した(ニュースリリース)。
一般的に赤外線の変化を検出する従来の焦電型赤外線センサーでは,人の大きな動作がないと検知が難しいため,例えば執務室において照明制御を行なう場合,着席してデスクワークをしているなど人の動きが小さい時には消灯してしまうという課題があった。
このセンサーは,画像情報により人の微細な動きを検知可能なため,デスクワーク中の執務者も検知できるという。人の在/不在だけでなく,検知エリア内のおおよその人数や活動量なども検知可能なので,在室人数に応じて空調の設定温度や換気量をきめ細やかに調整することで,より効果的に省エネを実現することができる。
また,周囲の明るさも把握(照度推定)できるため,照明の調光制御などに活用すれば,別途,照度センサーを設置する必要がないという。
さらに,入力画像を取得するカメラに新たに高性能カメラを採用することで高解像度化を図り,検知範囲は従来機種の9m×9mからこのセンサーでは10.8m×10.8mと1.44倍に拡大した。
そのため,実際の執務室の照明環境に適合しやすく,照明機器の配置など空間設計を検討する上で効果的で,設置自由度の向上に繋がるとしている。
このセンサーの標準的な使い方では画像データ自体の出力は行なわず,このセンサーによる演算結果のみを出力するため,プライバシーや機密情報へ配慮が必要な場所へも設置することが可能。
今回,東芝デバイス&ストレージが開発した画像認識AIプロセッサ「Visconti 5」を搭載したことにより,多様な対象物を高精度に認識することが可能になるため,従来機と比較し人物の存在や人数などのデータをより正確に取得できるとともに,さらなる検知機能の強化も可能となった。
同社は,このセンサー1台でより大きな検知エリアを網羅できるため,従来機種と比較してセンサー全体の設置台数を減らすことができると同時に,電源および通信ケーブルの配線コスト低減にも貢献するとしている。