三重大ら,酸素の発生を伴わない光合成の謎を解明

三重大学,茨城大学,沖縄科学技術大学院大学は,光合成細菌の光合成モデルとして研究が進んでいる細菌の一種Rhodospirillum rubrum(ロドスピリラム・ルブルム)(R. rubrum)の「膜タンパク質コア光捕集複合体」をクライオ電子顕微鏡により立体的に可視化することに成功した(ニュースリリース)。

酸素を発生せず,非常に高い効率で太陽の光を電子エネルギーへ変換できる光合成細菌の光合成は,効率を重視した独自の進化過程を遂げたことがわかっている。一方で,独自に発展した立体構造と機能との相関性は不明な部分も多く,長らく三次元構造が決定されず謎とされてきた。

海水や温泉に含まれるCa2+によって安定化される別種のコア光捕集複合体については,その安定化のメカニズムが明らかになってきた。しかしCa2+への依存性がない複合体のメカニズムについては未解明で,今回の研究では,クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析法によりようやく明らかにすることができた。

R. rubrumの構造はほぼディスク様であることから,各粒子画像と三次元構造との配向関係の決定が困難なため分解能が4.0Å分解能程度で止まっていたが,解析手法の改善により2.76Å分解能に向上させることができ,バクテリオクロロフィル等を可視化できるようになった。さらに,構造既知ホモログとの比較により,新しい相互作用パターンによりCa2+非存在下で安定化されることが明らかになった。

また,ロドキノンが複合体に含まれていることは解明されていたが,結合位置を含めて可視化することで,嫌気性(酸素を必要としない)条件下での光合成の効率向上に一役買っていることもわかったという。

約20年前,このタンパク質複合体が電子顕微鏡により2次元の投影像で示されたが,今回,詳細な三次元構造を明らかにし,キノンの流入出経路のモデルも含めて提示することができたとする。

酸素を発生しない光合成細菌が行なう光合成は,進化的に原始的なものだが,高い効率性を実現している。今回可視化したこのメカニズムは,太陽光エネルギーの人工的利用の発展に貢献することが期待できるという。

研究グループは,明らかにしたメカニズムを基に,すでに生物工学でも利用されているR. rubrumの効率向上の研究を進め,地球環境保全・SDGsの達成にも寄与していきたいとしている。

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