原研ら,高位置分解能α線イメージング検出器開発

日本原子力研究開発機構(原研),東北大学,三菱電機は,世界初となる原子力用超高位置分解能α線イメージング検出器を開発した(ニュースリリース)。

原子力施設などにおける作業者の内部被ばく評価には,どの程度の大きさのα線を放出する粒子が作業場所に存在しているかを知ることが必要となる。

これまでイメージングプレートなどが用いられてきたが,これらの検出器ではリアルタイムの測定ができなかった。また,イメージングプレートはα線以外の放射線にも感度を有するため,α線とその他の線種の放射線との識別が必要だった。

研究グループは,医療分野等で開発が進められているα線イメージング検出器を基に,超高位置分解能α線イメージング検出器を開発。検出器はZnS(Ag)シンチレータ,光学顕微鏡,および電子増倍CCDカメラ(EMCCDカメラ)で構成した。

高い位置分解能を得るために複数のカメラを比較試験し,最も信号対雑音比が良かった電子増倍機能付きのEMCCDカメラを選定。α線のみを感知したいので,ZnS(Ag)シンチレータの厚さが最も重要となる。そこで,α線にのみ感度を持ち,X線,γ線,β線など他の線種には感度を持たないように最適の厚さとして約8μm(3.25mg/cm2)のものを用いた。

EMCCDカメラは,熱雑音を低減するために-65℃に冷却し,外部からの不要な光を遮断するために検出器自体を暗幕で覆った。α線の入射により生じるシンチレーション光を,一定の露光時間で短い時間間隔で画像取得を行なうことにより,一つ一つのα線が重なることなくリアルタイムに可視化できた。

この検出器を用いて実際にプルトニウム(Pu)試料に適用したところ一つ一つのα線をリアルタイムに可視化することに成功した。また,α線の位置分解能として16μmが得られ,従来のイメージングプレート(25μm)を上回る性能を確認したとする。

この装置では一つ一つのα線位置が可視化できるため,そのα線の数から個々のプルトニウム粒子の計数率を直接的に評価し,粒子の大きさ(等価粒子径)を求める手法も考案した。これにより,作業現場でリアルタイムにプルトニウム粒子の粒径分布の評価に応用することが可能になるという。

研究グループは,今後,この装置を様々な試料に適用することで精度の向上を図り,東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の実試料の測定に適用し,作業現場の内部被ばく線量評価や放射線安全に貢献していきたいとしている。

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